เข้าสู่ระบบ「……離婚?」
私に離婚しましょうと言われた湊が片眉を上げて、怪訝そうな顔をする。そして次第にその口元が緩み、蔑むように鼻で笑うという。
「燈……今、自分が何を言ったのか分かっているのか?自分の今の姿を良く見ろよ」
私は湊の部屋の窓に映る自分の姿を見る。
「もう君がメスを置いてから二年だ。天才救命医だった君は過去の産物じゃないか」
湊はそう言って背後の愛沢くるみを労わる素振りをする。
「今の君は、自分の子供すら守れなかった敗者なんだよ」
湊は私に振り返り、私に向かって冷たく笑うと言う。
「二年前と一緒だよ、君はその天才的な腕を持っていたにも関わらず、大事な時にその腕を発揮せず、俺の大事な親友を助けられなかった。見殺しにしたんだよ。そんな君なんだから、自分の子供も守れないのは至極当然の事だ」
湊に言葉を投げ付けられる度に私の呼吸が浅くなっていく。
「……違うか?」
そう聞かれて震えながら湊を見る。湊の瞳の奥は分厚い氷のように冷たい。
「君の才能はこんなところにもあったんだな。大切なものだけを、的確に壊す才能……か」
湊はそう言うと嘲笑うように私を見る。
「離婚すると言えば俺を脅せると?」
湊はそう言いながら私に近付き、私を見下ろす。
「俺の親友を見殺しにし、自分の子供も守れず、夫に追い出された女がこの世界でどうやって生きて行くのか、見ものだな」
どうしてここまで言われなくてはいけないんだろう。確かに私にも颯太の死の責任の一端はあるだろう。子供も守れなかったのもそうかもしれない。その時、愛沢くるみが目に涙を浮かべ、か細い声で私たちの間に割って入って来る。
「……ちょっと待って、ね。落ち着いて」
そう言って湊を弱々しく見上げて言う。
「私も何故、燈ちゃんが私に手を上げようとしたのか分からないの……」
そして私をチラッと見て続ける。
「でも燈ちゃんにも何か事情があるのよね……流産したばかりって聞いたし……」
最後は消え入りそうな声でそう言う愛沢くるみはか弱い女を完璧に演じ切っている。それを見て私は自分の中で踏ん切りがついた。
「……もう充分」
そう言って立ち上がり、痛む下腹部を気にしながら言う。
「私が湊、あなたと夫婦で居た三年間、ずっと私はあなたに尽くして来た。それは疑いようのない事実よ」
涙が込み上げそうになるのを堪えて、湊を見る。
「その献身も、生まれて来られなかった子も……その全てで私はその“借り”を返し終えた筈……いいえ――」
短く息を吐き、涙を振り払い、微笑む。
「これは私からの“貸し”よ。貸しである以上、全て綺麗に回収するわ」
◇◇◇
私は大急ぎで家に戻った。本当は入院をしなくてはいけない。けれど私はもう一秒たりとも待てなかった。家に入り、真っ先に引き出しの奥にしまってあった離婚届を取り出す。
――三年前。
湊は元々、この結婚を望んでいなかった。だから結婚した時点で既に離婚届にサインした状態で湊が私に渡して来たのだ。いつでも離婚出来るように、と。私はその場でサインはしなかった。出来なかったのだ。
その離婚届に自分の名を書く。
そしてスマホに長年、登録されていて、かけた事の無かった番号がある。世界最高峰の医療研究機関に最高責任者として研究を担っているある人物。
「……高嶺さん、お久しぶりです」
電話の向こうで彼は驚きを隠さない。
「佐伯、どうした?急に電話なんて……」
私は手に持っている離婚届を見ながら、言う。
「研修を受けたいんです、席はまだありますか?」
電話の向こうで彼が少し笑う。
「もちろん、あるよ……というか、君なら大歓迎だよ」
久しく聞いていない、優しい言葉に涙が溢れる。その涙を拭って言う。
「すぐにでも出発したいんです。出来れば明日にでも。問題ありませんか?」
そう聞くと彼が言う。
「あぁ、問題無い。歓迎するよ。ただし、ここは最高峰の研究機関だ、甘えは許されないし、許容もしない、妥協は許さない。代わりに世界トップレベルの研究に携わる事が出来る。ブランクは言い訳には使えないよ?それでも大丈夫かい?」
そう聞かれて私は頷く。
「えぇ、問題無いです。むしろその方が助かります」
翌日には私は飛行機に乗っていた。私の名前の欄には久遠では無く、佐伯と書かれている。久遠の名を捨て、私は佐伯燈として旅立つ。
私の腕を掴み上げ、振り払った湊。湊の背後で私を嘲笑ったくるみ。
あの二人には“貸し”があるのだ。全て綺麗に回収する為に、私は旅立つのだ。
――次に会った時、跪くのはどっちかしらね、楽しみだわ。
私たちは千堂弘の居るであろう第七区画へ行く準備を速やかに行った。それぞれが連絡を入れたりする中で遼大が言う。「藤堂氏には俺から連絡を入れる。うちの人員との連携もあるからな」遼大はそう言いながら用意されていたタクティカルスーツに身を通す。私も着替えながら遼大に言う。「湊へは連絡を入れておいたわ。バックアップに回ってくれるそうよ」遼大がスマホを確認している間、既にタクティカルスーツの着用を終えていた賀神さんに聞く。「賀神さんの方は大丈夫なの?」そう聞くと賀神さんが苦笑する。「心配はされてますが……大丈夫です」こういう事態になって、初めて一緒に“出陣”するのだから仕方ないだろう。しかも現場に行くとなれば、最悪の状況も考慮に入れなくてはいけないのだから。不意に私のスマホが鳴る。見れば湊からメッセージが来ている。『藤堂氏との連携完了、御堂院家からの協力の申し出アリ』それを見て微笑む。「東都メディカルも協力してくれてるみたいね」私がそう言うと賀神さんが頷く。「静香が指揮をとってます」そう言われて私は頷き、言う。「頼もしいわね」髪をひっ詰めて、一つに結ぶと遼大が私の頭をポンと撫でる。「行けるか?」そう聞かれて私は頷く。「えぇ、行けるわ」遼大は微笑み、言う。「藤堂氏の方とも連携がとれた。すぐに人が来る」◇◇◇車での移動を開始する。私たちが乗っている車両には他にも数人の人員が乗っている。遼大の部下の人たちと藤堂氏の手配で来てくれた“公的機関”の人たちだ。藤堂氏が事前に話を通しておいてくれたお陰で、連携はスムーズだった。「様々な危険を考慮に入れて、我々は動きます。最初の突入は我々が先陣を切りますので、ご了承を」そう言われて私たちは頷く。ベイサイドパイロットプラントに突入した時もそうだったから、何となく手順は分かっている。数台のバンが連なって走っている。「どんな場所なのかしらね」私がそう言うと、遼大がタブレットを見せてくれる。「事前に入手した第七区画の平面図だ」ざっと見るだけでも、かなり大きい。「かなり大きいわね」そう言うと遼大が頷く。「あぁ、規模が大きいからな」遼大はそう言いながら私と賀神さんにタブレットを見せながら言う。「今回俺たちが狙いを定めているのは、ここ」そう言って平面図を指差す。「構造上、ここが
送られて来たデータを聞き直す。確かに賀神さんの言う通り、私たちが話しているその奥で、鉄工所などで良く聞く分厚い鉄鋼などがぶつかり合うような音と、船の汽笛の音がしていた。本当に私たちの声に混ざったその音を聞き逃さなかった賀神さんの耳はすごいと思った。「本当に聞こえるわね」私がそう言うと遼大がクスッと笑う。「賀神は昔から耳が良かったよな」そう言われて賀神さんが笑う。私たちは気を引き締めて、千堂弘からの電話の音声を元に色々と導き出した。この時間に出港した船の場所。そして鉄鋼のぶつかり合うような音がどの程度の距離なら聞こえるのか。それらの情報と私たちが三か所にまで絞った候補地を合わせてみる。合致したのは一か所。「ベイサイドパイロットプラントの中……第七区画にあるこの建物だな」遼大が地図上でその建物を指差す。「えぇ、そのようね」私がそう言うと、賀神さんが何かを調べ始める。「その建物はミラトリウム製薬の保管庫兼研究所にもなっているようだ」賀神さんは自身のタブレットを私たちに見せてくれる。「研究所……」私はそう呟き、あのベイサイドパイロットプラントや、千堂弘の家のあのラボを思い出し、ゾッとする。一体、そのラボで何が行われているのだろうか。それを想像するだけで背筋に悪寒が走る。「おそらく、千堂の居る場所はこの第七区画だな」私たちは顔を見合わせる。「行こう」誰からともなしにそう言う。◇◇◇高嶺さんから連絡が入った。千堂弘の居場所を特定出来たかもしれない、と。俺はその場所を聞き、加山さんに連絡を入れる。「念の為、燈と高嶺さんのGPSを追ってくれ」俺がそう言うと加山さんが言う。『かしこまりました』俺は歩き出しながら考える。これは俺も一緒に行くべきだろうか。高嶺さんは燈と賀神さんを連れている。これ以上、人員が増えたら負担だろうか。それでも俺も行きたいと思った。愛沢くるみがその体に何をされているのか、どんな処置がされているのか。千堂弘は愛沢くるみの体内に一体何を見つけたのか。千堂弘は天才だが、燈や高嶺さん、そして賀神さんも天才の部類の人間だ。俺は脳外の世界の中では天才とも言われていたが、今はその自信が無い。本物の天才たちをこの目で見たからだ。(俺も小さい人間だな)そう思い笑う。きっと千堂弘がどんな処置をしていても
「それで? 俺たちはどこへ行けば?」遼大がそう聞く。電話の向こうで千堂弘が笑う。『すぐに来て頂く訳にはいかないのですよ、私の方もこれからその施術をするので』そう言われた遼大が腕時計を見る。「どれくらいの時間が必要なんだ?」遼大がそう聞く。カチャカチャと金属の器具の音がする。『そうですねぇ……前回よりも時間がかかるのを考慮すると、一時間、ってところですかねぇ』タイムリミットが切られた。一時間……しかも出来るだけその時間内に千堂弘が居る場所へ辿り着ければ、施術自体を止められるか、途中で投げ出させることが可能なのだ。遼大が静かにスマホを取り出して、音も無く、スマホをタップしている。居場所の割り出しにかかっているのだろうと思った。「私たちは今、あなたがどこに居るのか、見当もついていないのよ? そうなると愛沢くるみを救い出すのに時間がかかってしまうわ」私がそう言うと、電話の向こうで千堂弘が笑う。『候補地がいくつかに絞れているのでしょう? 順番に当たったとしてもそれ程、時間はかからない筈だ』千堂弘は私たちの状況を把握しているように感じる。そしてそれを楽しんでいるようにも。「確かに私たちは候補地をいくつかに絞っているわ。それでもその過酷な施術に愛沢くるみ自身が耐えられるのかは、また別の話よ」私がそう言うと、電話の向こうが急にシンとなった。『検体が耐えられるかは別の話……』千堂弘がそう呟く。きっと千堂弘は分かっていない。人が生きようとするのは本能的な部分も大きいけれど。精神的に壊されてしまえば、それは生きる意味を失くし、生命力もそれに応じて落ちてしまう事もあるのだという事を。『面白い仮説ですね』冷たい声が響く。「仮説なんかじゃないさ、人間はそういう生き物なんだ」遼大がスマホを操作しながらそう言う。「今、目の前でお前がこうして俺たちと話しながら施術を準備をしているこの状況が、お前の大事な検体にどんな影響を与えるか、なんて考えた事も無いんだろうな」ほんの少しの蔑みが混ざる、その言い方に遼大の苛立ちが見える。電話の向こうでふっと笑う千堂弘が言う。『そこはご本人の生命力に賭けてみましょうか』カチャンというひと際大きい音がした後、千堂弘が言う。『そろそろ時間です。私はこれで。健闘を祈ります』電話がプツッと切れる。ツー、ツー、ツー
千堂弘は私たちが愛沢くるみを大事では無いのか、と聞いた。確かに愛沢くるみは私たちにとって大事な人間だ。それは愛沢くるみが今まで犯して来た罪を償わせる為で、愛沢くるみ自身が大事な訳では決して無い。私たちは愛沢くるみの持っているという特殊な血清に興味なんて無いし、それが手に入ったところで……そこまで考えて、私はある可能性を思い付き、ハッとする。千堂弘がここまで愛沢くるみにこだわっているのは、愛沢くるみからしか採取出来ない特異な血清があるからだ。そして私たちはそれを千堂弘の開発する薬品の一つの駒だと思っていた。でも恒久的にその血清を手に入れる為には愛沢くるみを生かしておく必要がある。だからこそ私たちはそれ程、焦ってもいなかったのだけれど。もしかしたら。私はそう思って、手元のメモ帳にメモを書く。サラサラとメモを書いて、遼大と賀神さんに見せる。メモを見た二人は互いに頷きい合って、私を見る。きっと二人も私と同じ考えなのだと確信する。「愛沢くるみは大事よ。彼女に何かあったら困るわ」私は冷静にそう言う。決して声の調子で私たちの思惑を悟られてはいけない。『そうでしょうね。じゃなければこうして私を追いかけて来る事の意義が無い』千堂弘は冷たい声でそう言い、笑う。(良かった、悟られてはいないみたいね)千堂弘は自分を追いかけて来る事の意義と、そう言った。千堂弘を追いかける事の意義なら、ごまんとあった。開発する事が許されないような薬品を開発し、それがEMSOの地下階に今まだ充満していて、浄化も出来ない。中和が出来ればそれが一番だけれど、それすら出来ずに地下階を封鎖しなくてはいけなくなっている。私たちが分析も分解も出来ない悪魔の薬 ―― レプリトールディザスター。開発したのは千堂弘の異母兄の千堂彰だけれど、千堂弘はその開発を引き継いでいる。だからこそ、愛沢くるみが必要なのだ。長年、その体に愛欲の女王を噴霧し続けてもなお、精神にも体にもほとんど影響の出ていない、その特殊な体質。愛沢くるみの体内で何年もの時間をかけて、生成された特異な“何か”。私たちはそれが何かと突き止めてはいないけれど、それがある以上、千堂弘が愛沢くるみを死なせる事は無い。そして。こうして自ら私たちに接触して来るのは、前回同様、私たちに愛沢くるみを助けさせる為だろう。そしてもう一つ。
私が振り返った事で遼大も賀神さんも私を見る。「どうした?」遼大にそう聞かれて私は言う。「千堂弘から電話よ」そう言うと遼大も賀神さんも驚く。「とにかく、話してみるわ」そう言って私は内線電話の向こうの事務員に言う。「外線に切り替えて」私がそう言うと事務員が外線へと切り替えてくれる。私は素早くスピーカーにする。「はい」私がそう言うと電話の向こうで何かの電子音と、冷たいカチャカチャという金属の音がする。『佐伯燈先生ですか?』ほんの少し笑いを含んだその声は紛れもなく千堂弘のものだった。「そうですが」そう言うと、千堂弘が言う。『急なお電話で驚かせてしまいましたね』私はその場に居た遼大と賀神さんと顔を見合わせる。「お気遣いどうも」私がそう言うと、電話の向こうで千堂弘が言う。『私の居場所は分かりましたか?』そう聞かれて私はその真意を探る。(ここは正直に分からないと言うべき? それとも……)そう思いながら三か所にまで絞った候補施設を見る。遼大が私の手に触れる。私は遼大を見る。遼大が首を振る。「いえ、まだよ」そう言うと電話の向こうで千堂弘がクスッと笑う。『そうですか、天才が三人も集まっているのに、まだ私の居場所が分からない、と』明らかな挑発だった。乗る訳にはいかない。そして今、この場に私以外に遼大と賀神さんが居る事を千堂弘は正確に言い当てた。(そういう意味では、千堂弘は推察に長けているのかもしれないわね)私はそう思いながら聞く。「それで、どうして電話を?」そう聞くと千堂弘が言う。『敵情視察ですよ、私の事をどこまで調べたのか、何が分かっているのか、そして何をしようとしているのかを正確に把握なさっているのかどうか』頭の中で様々な事が過って行く。千堂弘の目的は何?自分の居場所を把握されているのか、それを知る為?自分の目的をこちらが把握しているのかを知る為?「千堂」遼大が言う。『おや、高嶺総帥』千堂弘は遼大の事を高嶺総帥と呼んだ……それは八重樫一晟が遼大をそう呼んでいたからだろう。『ご機嫌いかがですか?』千堂弘は私たちを揶揄っているのだろうか。「機嫌はすこぶる悪いな。おまえのせいで」遼大が少し笑いながらそう言う。電話の向こうで千堂弘も笑う。『さすがは高嶺総帥だ。あなたは本当に抜け目がない』私のすぐ
「この透かしは……」遼大が頭上に掲げた紙を凝視している。「そこに入っているのは固有の文字列、ミラトリウム製薬が個別で持っている、それぞれの識別番号になる」賀神さんがそう言う。「その書面はミラトリウム製薬からの正式なものだ」賀神さんはそう言って遼大に渡した数枚の書類に手を伸ばし、透かしの部分を見比べるよう、促す。「確かに個別の文字列があるな」遼大がそう言いながら個別の文字列を検索にかける。「これがヒントになる?」私がそう聞くと賀神さんが苦笑する。「おそらくは。千堂弘の署名があるという事は、当の本人が少なくともその時、その場所に居た、という事と同義です。つまりは千堂弘がその場所で活動をしていたという事。ラボ一つ一つに千堂弘個人のオフィスがある事を考慮に入れても、それなりに絞る事は可能かと」賀神さんがそう言った後、遼大がタブレットの画面を見ながら言う。「ヒットした」遼大が私と賀神さんにタブレットを見せてくれる。いくつかの施設の名前がある。「これをさっきの地図上に示したものと合わせて……」遼大がそう言いながらタブレットを操作する。さっき絞り込んだ数か所と、今回の透かしの文字列に当てはまる施設が合致していく。「これでもまだ候補がいくつかありますね」賀神さんがそう言う。「あぁ、だが、助けにはなった。いくつかの候補が除外出来たんだからな」遼大がそう言って賀神さんを労う。地図上に示されているプラントの数々。トラックの運搬経路。透かしの文字列による、千堂弘の個人オフィスの絞り込み。EMSOと同等か、それ以上の設備のもの、という推理。ふと、思い付く。「ねぇ、この施設の中で、オンタイムで電力供給量が高い場所を探すのはどう?」私のその一言で遼大も賀神さんも私を見る。「……そうか。愛沢くるみを保有しているなら、今、まさに実験が行われているだろうし、そうであるなら電力の供給量も多い筈……」遼大はそう言ってタブレットを操作する。◇◇◇無力化……無力化……無力化……!!私はツカツカと歩きながら忌々しい思いを噛み潰していた。溶媒を載せた運搬車が事故、一方で愛沢くるみから抽出した変異レセプタータンパクがどうしても言う事を聞かず、私がそれまで開発に膨大な時間をかけて来たレプリトール系の薬品は全て、愛沢くるみの変異レセプタータンパクで無力